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M20080423_034408 の準火球
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流星談話室 (Meteors)
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投稿者
メッセージ
SonotaCo
Site Admin
登録日: 2004.08.07
記事: 12671
所在地: 139.67E 35.65N
日時: Tue Apr 29, 2008 3:09 pm
記事の件名: 原因がほぼわかりました
IS2のデータだけFBIで流星の瞬時位置誤差が大きい問題ですが、
Yamakawaさんからオリジナルデータを送付頂き、調査したところ、ようやく原因らしきものが判明しました。
まず、以下の画像を見てください。
これは、元映像から抽出した10フレーム置きのフィールド画像を重畳して作った画像です。
これをみると、流星痕が綺麗に映っているのがわかります。
問題は、その流星痕の位置なのですが、流星本体の光芒の中心から少し下にずれているように見えないでしょうか?
おそらくは、流星痕の位置が流星の経路としては正しく、遠くの観測点からも観測することができる最も明るかった位置だろうと思います。
ところが、IS2は今回流星経路に最も近く、流星を間近で観測しているために、光芒が大きくて、歪んでいるのです。
つまり、流星本体の光芒は正円からかなり崩れた形になっていて、光芒の中心位置は流星位置からかなりずれてしまっている可能性があるわけです。。
M20080423_034408_IS2_SP.png
説明:
10フレームおきのフィールド重畳画像
ファイルサイズ:
219.36 KB
閲覧数:
2692 回
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SonotaCo
Site Admin
登録日: 2004.08.07
記事: 12671
所在地: 139.67E 35.65N
日時: Tue Apr 29, 2008 3:29 pm
記事の件名: 光芒の中心位置と流星痕の位置の誤差
で、UA2が分析する光芒の中心位置と流星痕がどの位ずれているかを調べてみることにしました。
下図は、UA2が求めた光芒中心位置(赤点)を前述の画像に重畳し、2倍拡大したものです。
図から、自動分析された中心位置は、痕の左上に1〜2画素ずれていることが判ります。
これは Ra と Dec にして 0.1度程度の差で、通常の分析精度の数倍以上の大きな誤差に相当します。
----------
この誤差が果たしてFBIの瞬時位置誤差に対応しているかを確認したいわけですが、
現状のUA2にはこのような光芒の中心位置誤差を補正する術がありません。
そこで、AXMLファイルのデータを手で修正して様子を見ることにしました。
2番目の図は、IS2分析結果に対して、経路後半のみ ra, dec を一律に0.1度ずつ減らしたデータを作成し、これをFBIにかけたものです。
マゼンダ色がIS2です。
結果、補正をした経路後半では
見事に他の観測と一致しました
。
以上から、今回のIS2の誤差は IS2が至近観測点であったためにその光芒が大きく歪み結果として光芒中心位置が本来の経路から0.1度程度ずれてしまったために発生したものだろうと思いました。
うーん、こんなことがあるんですね
。
改善はとても難しそうで、挑戦する気になれませんが、とにかくまたまた勉強になりました。
ご協力ありがとうございました > H.Yamakawaさん
M20080423_034408_IS2_SPY.jpg
説明:
光芒中心(赤)と流星痕の位置の差
ファイルサイズ:
59.72 KB
閲覧数:
2684 回
modify.png
説明:
ra dec を0.1度ずつ減らしたケース
(図中 += 0.1 は -=0.1の間違いです)
ファイルサイズ:
16.37 KB
閲覧数:
2684 回
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上田昌良
登録日: 2005.02.07
記事: 3090
所在地: 大阪府
日時: Tue Apr 29, 2008 7:01 pm
記事の件名: Re:光芒の中心位置と流星痕の位置の誤差
SonotaCoさん、 詳しい解析をありがとうございました。
明るい火球の流星位置の測定は、光芒の広がりが大きく困難なものですね。
さて、今回の多点同時観測の処理による流星軌道ですが、多くの同時が
ありましたので、天球上の交差角Qcが40°以上となる組み合わせで計算
してみました。ペア(Pair)での組み合わせをみますと、輻射点、対地軌道とも
にいい感じになります。
Qcが10°以上では、対地軌道にズレがみられます。
それで、Qcを40°以上としてunified radiantで計算したものを軌道計算結果
としてみたいと思っています。
もちろん、Qcだけでなく、経路を横から観測できた観測地のデータを優先す
るなどいろいろな要素がありますが、
B20080423_034408GMAP Qc40 .jpg
説明:
2008年4月23日3:44:08JST
天球上の交差角Qcが40°以上のものによる
ファイルサイズ:
40.61 KB
閲覧数:
2651 回
B20080423_034410GMAP Qc10 .jpg
説明:
Qcが10°以上のものによる
対地軌道、ややズレがみられる。
ファイルサイズ:
42.12 KB
閲覧数:
2651 回
B20080423_034408TMAP Qc40 .jpg
説明:
Qcが40°以上の組み合わせによる輻射点
ほぼ一点に集中している
ファイルサイズ:
51.68 KB
閲覧数:
2651 回
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SonotaCo
Site Admin
登録日: 2004.08.07
記事: 12671
所在地: 139.67E 35.65N
日時: Wed Apr 30, 2008 6:23 pm
記事の件名: Re:光芒の中心位置と流星痕の位置の誤差
上田昌良 wrote:
Qcが10°以上では、対地軌道にズレがみられます。
それで、Qcを40°以上としてunified radiantで計算したものを軌道計算結果
としてみたいと思っています。
今回の観測では、東側からの多数の観測と大阪からの2つの観測に大きく2分さているのが特徴だと思います。
40°というのは東側同士の組合せを捨てるということで、今回の観測についてはとても妥当な所ですね。
そうそう、FBI で観測を絞りこんで、瞬時位置誤差が0.2km程度になる輻射点方向の誤差範囲を求めてみました。結果は以下でした。
Ra 313.33 ± 0.08 deg
Dec -34.85 ± 0.04 deg
この時、観測速度は 70.1 ± 0.2km/s となりました。
それにしても、今回の観測では、ここ数年での観測技術の進歩を実感しました。
IS2の例は原因は 0.1度程度の計測誤差だったのですが、これが許容できない程、全体の精度が上がり、100km〜200km以上先の流星のフレーム時刻毎位置を200m以下の誤差で決められるようになった.... ということで、 ちょっと感慨深いです
。
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上田昌良
登録日: 2005.02.07
記事: 3090
所在地: 大阪府
日時: Wed Apr 30, 2008 7:49 pm
記事の件名: Re:光芒の中心位置と流星痕の位置の誤差
同時流星の天球上の交差角Qcを40°以上の条件でunified radiantにて計算した軌道計算結果は次のようになりました。
さらに詳細な検討による結果を期待しましてこの結果は、暫定値とします。
DATE 20080422
UT 184408
R.A. 313.4
Dec. -35.5
Vobs. 70.0
Vg 68.9
Vh 41.7
Q 90
abso. -4.2
Hb 124.0
He 95.8
DATE 20080422
UT 184408
a 30.29
e 0.967
q 0.996
Ω 212.89
i 150.39
ω 348.97
P 166.81
Shower _spo
Dur 2.826
Solar deg. 32.89
Path 197.83
南の空から来たVg 68.9km/sの高速流星で、実経路長197.8kmと長い
絶対光度-4.2等の散在流星でした。撮影は6カ所で写され、天球上の
交差角が90°という軌道計算をするには最良の条件でした。
撮影及びデータ提供いただきました皆さんありがとうございました。
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