SonotaCo.JP
SonotaCo Network Japan Forum
SonotaCo.JP Forum Index
homeTop Page  FAQFAQ   検索検索   メンバーリストメンバーリスト   ユーザーグループユーザーグループ   登録する登録する 
 プロフィールプロフィール   プライベートメッセージをチェックするプライベートメッセージをチェックする   ログインログイン 

ゼロから考える流星質量
ページ移動 前へ  1, 2, 3
 
新しいトピックを投稿   トピックに返信    SonotaCo.JP Forum Index -> 流星談話室 (Meteors)
前のトピックを表示 :: 次のトピックを表示  
投稿者 メッセージ
SonotaCo
Site Admin


登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Mon Apr 14, 2008 7:12 pm    記事の件名: 低速流星だと.... 引用付きで返信

最後に、速度が脱出速度ギリギリの低速流星についてシミュレートしておきます。
なんと、初期質量200gでも100g近くは隕石として落下するという結果になりました。
隕石の落下の可能性については、なんといっても大気圏突入速度が最大の要素のようです、こんなに差がでるとは思っていませんでした Shocked
図は速度が2km/sまでしか書いていません。2km/s以下では風の影響が大きく、もはや発光していない可能性もあり、ダークフライトとして計算すべきだからです。
2km/sまで減速していて質量が残っているものは地上に落下するとしています。

とにかく、低速流星は小さくても地上に届く可能性が高いようです。
今後は注意したいですね Cool



Image9.png
 説明:
初期速度が小さい場合
 ファイルサイズ:  53.7 KB
 閲覧数:  6753 回

Image9.png


トップに戻る
ユーザーのプロフィールを表示  
SonotaCo
Site Admin


登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Tue Apr 15, 2008 10:25 am    記事の件名: 高速大質量隕石 引用付きで返信

突入速度70km/sの隕石が燃え尽きずに地上に到達する例を調べてみました。
突入角 50 度 とすると 初期質量が 10の9乗kg (100万トン) 程度必要なようです。
密度4000kg/m^3だとして直径80m程度です。
経路はほぼ直線で、殆ど減速することなく 2秒足らずでそのまま地表に衝突します。

初期質量が100万トン以下だと、例えば25万トンあっても大気中で燃え尽きる計算です。しし座流星群などの隕石が無い理由がわかります。
逆に、400万トンだと100万トンも地表に到達することになります。これはハルマゲドンですね。
(秒速70km/s の100万トンの物質の運動エネルギーは 2.5*10^18J で、TNT火薬なら600メガトン、水爆60発分、あるいは マグニチュード9の地震と同程度です)

一応、調べたいことは一通り済んだ気でいます。
初期値のリクエストがあれば、言ってください。シミュレートしてみます。



Image10.png
 説明:
高速、大質量流星
 ファイルサイズ:  50.64 KB
 閲覧数:  6713 回

Image10.png


トップに戻る
ユーザーのプロフィールを表示  
上村



登録日: 2005.11.07
記事: 1792
所在地: 新潟県中越

記事日時: Sat Apr 19, 2008 9:13 am    記事の件名: 低速大質量隕石ではどうでしょう 引用付きで返信

お言葉に甘えさせていただきます。
初期質量が10の9乗kgというのはツングースカ隕石の質量と推定され、興味深く拝見しました。
で、突入速度15km/sと30km/s、突入角15 度と30度ではどんな結果になるでしょうか。
トップに戻る
ユーザーのプロフィールを表示   投稿者のウェブサイトに移動
SonotaCo
Site Admin


登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Sat Apr 19, 2008 11:30 am    記事の件名: Re: 低速大質量隕石ではどうでしょう 引用付きで返信

上村 wrote:
初期質量が10の9乗kgというのはツングースカ隕石の質量と推定され、興味深く拝見しました。
で、突入速度15km/sと30km/s、突入角15 度と30度ではどんな結果になるでしょうか。

初期質量を10の9乗kg として、初期速度を 15,30,45,60 km/s , 突入角15度と30度をプロットしてみました。
当然ですが、いずれの場合も速度の低下は殆どなく、
低速では殆どそのまま地表に衝突し、速度が上がると次第に到達質量は減ります。
突入角の違いは、燃焼時間の差になるようです。つまり速度が殆ど変わらないので、突入角が大きいと衝突までの時間が短くなり、燃える量が減るという感じです。
いずれにしてもこれだけ重いと、低速では、膨大な質量が地表に衝突する計算となります。



15.png
 説明:
初速15km/s
殆どそのまま衝突します
 ファイルサイズ:  54.05 KB
 閲覧数:  6609 回

15.png



30.png
 説明:
初速30km/s
半分位は燃え尽きます
 ファイルサイズ:  54.9 KB
 閲覧数:  6609 回

30.png



45.png
 説明:
初速45km/s
 ファイルサイズ:  54.16 KB
 閲覧数:  6609 回

45.png



60.png
 説明:
初速60km/s
殆ど燃え尽きます
 ファイルサイズ:  54.63 KB
 閲覧数:  6609 回

60.png


トップに戻る
ユーザーのプロフィールを表示  
上村



登録日: 2005.11.07
記事: 1792
所在地: 新潟県中越

記事日時: Sun Apr 20, 2008 9:08 am    記事の件名: ありがとうございました 引用付きで返信

SonotaCoさんありがとうございました。
シミュレートしていただいて亡霊のような存在から少し実体が見えてきたように思いました。
爆発時の質量が推定できたことの意義は大きいと思いますし、
ツングースカ隕石の出現(高度50km)から爆発(高度8km)まで10秒、と仮定して
初速15km/s、突入角15〜30度という値の支持者が多いのが判りました。
それにしても燃え残った90万トンの質量はどこへ行ってしまったの?
チェコ湖のボーリングへの期待がますます大きくなりました。
トップに戻る
ユーザーのプロフィールを表示   投稿者のウェブサイトに移動
前田



登録日: 2004.09.01
記事: 2754
所在地: Miyazai JAPAN (E131.4, N31.8)

記事日時: Tue Apr 22, 2008 12:50 am    記事の件名: 面白い結果ですね。 引用付きで返信

前田です。
不勉強なのですが、大きなクレータの地下から隕石が見つかったことは、実際にあるのでしょうか? 

話を戻しますが、私も突入角が気になりました。突入角が小さいところで、隕石が落下しやすい
極値はあるのでしょうか。それとも単調に地表まで到達しにくくなるだけでしょうか。
具体的には、例えば、速度15km/sで、輻射点高度が1度から20度まで変化させると、
消滅点の高度は輻射点高度が低い程短銃に高くなりますか。

説明があったかも知れないですが、この計算ではいわゆる大気減速の補正と
よく書かれるexp(Csρ/αcosZ )であらわされる項を用いているのですか?それとも、その項
事体をまともに計算してあるのですか。
トップに戻る
ユーザーのプロフィールを表示   投稿者のウェブサイトに移動
SonotaCo
Site Admin


登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Tue Apr 22, 2008 3:39 pm    記事の件名: Re: 面白い結果ですね。 引用付きで返信

前田 wrote:
不勉強なのですが、大きなクレータの地下から隕石が見つかったことは、実際にあるのでしょうか? 

これは私も知りません。
隕石落下地点の地下から出たという意味では1976年に落下した吉林隕石が凍土の地下6mから1770kgの破片を掘り出していますが、これはクレーターと呼ぶには小さすぎるものだと思います。
大きなクレーターを生じるような巨大隕石の場合、地殻を破ってマグマまで達してしまい、もはや掘り出せないことも多いのではという気がします。
前田 wrote:
説明があったかも知れないですが、この計算ではいわゆる大気減速の補正と
よく書かれるexp(Csρ/αcosZ )であらわされる項を用いているのですか?それとも、その項
事体をまともに計算してあるのですか。

まず、この点ですが、その式は使っていません。
まともと言えるかどうかはともかく Wink 、ゼロから物理的意味が明確な式だけで、計算しています。

今回のシミュレーションは以下の式で各時点の空気抵抗と質量損失を求め、
地球重力を加味して各時点の位置、速度ベクトル、質量を更新する計算を
0.01秒毎に繰り返すものです。
このシミュレーションの特徴は、流星物質の昇華のために使われるエネルギーが
大気の完全非弾性衝突により発生すると仮定している点で、htという1つの係数だけで、
昇華エルネルギーを算出しています。
尚、流星は均一密度の球と仮定して質量から断面積を求めており、地球も完全な球と仮定しています。また、衝突する空気質量より流星質量が遥かに大きいことも仮定しています。
大気密度は理科年表にある値を補間して使っており、緯度や季節による変動は考慮していません。

これは今回、できるだけ単純な式を使って観測と合うようにと考案したものですが、高空で殆ど減速せず質量が減る過程を見事に再現します。
なおかつ中〜低空での減速と減質量過程が過去の力学的モデルとよく一致すると思っています。
結果に対する近似式と違い、数値解析だとより理解しやすいシミュレーションができると思います。
ご意見歓迎します。



Image1.png
 説明:
基本式 (速度ベクトルの変化部分は省略しています)
 ファイルサイズ:  17.23 KB
 閲覧数:  6465 回

Image1.png




最終編集者 SonotaCo [ Tue Apr 22, 2008 4:51 pm ], 編集回数 1 回
トップに戻る
ユーザーのプロフィールを表示  
SonotaCo
Site Admin


登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Tue Apr 22, 2008 4:24 pm    記事の件名: Re: 面白い結果ですね。 引用付きで返信

前田 wrote:
話を戻しますが、私も突入角が気になりました。突入角が小さいところで、隕石が落下しやすい
極値はあるのでしょうか。それとも単調に地表まで到達しにくくなるだけでしょうか。
具体的には、例えば、速度15km/sで、輻射点高度が1度から20度まで変化させると、
消滅点の高度は輻射点高度が低い程短銃に高くなりますか。

初期高度100km,質量1kg,速度15km/sで低突入角をシミュレートしてみました。
まず、突入角5度以下だと、アースグレージンクになります。
突入角が6度以上あると、アースグレージングにはならないのですが、中高空の大気中で速度が2km/s以下となりシミュレーションが終了します。
これは、燃え尽きる前に空気抵抗で速度が無くなり、発熱が少ないのでもはや質量は減らず、以降自由落下になることを意味しています。
これも消滅点の一種ですが、質量が無くなる消滅点とは異なり、質量はあるものの光らなくなる消滅点です。
(2km/sは質量減少の様子から適当に定めた閾値で、本当にそこで光らなくなるか否かはわかりません)

その消滅点高度は、突入角の増大に従って、単調に低下します。
初期質量を増大させても傾向は変わらず、消滅点が徐々に下がるだけです。
突入角20度、初期質量が100トン以上で昇華中に地表まで達します。
アースグレージングになる場合を除き、最終質量(速度が2km/sになった時の質量)は突入角には依存せずほぼ一定になるようです。

この結果は、速度が15km/s の場合、突入角が5度以上あれば、殆どの場合に隕石が落下するることを意味しています。
本当だとすると、面白いですね Shocked



Image2.png
 説明:
速度15km/s. 突入角 5〜20度
 ファイルサイズ:  54.06 KB
 閲覧数:  6456 回

Image2.png




最終編集者 SonotaCo [ Tue Apr 22, 2008 5:08 pm ], 編集回数 1 回
トップに戻る
ユーザーのプロフィールを表示  
SonotaCo
Site Admin


登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Tue Apr 22, 2008 4:38 pm    記事の件名: アースグレージング 引用付きで返信

初期高度100km, 突入角5度、初速15km/s だとアースグレージングになることが判ったので、それが初期質量によってどうかわるか見てみました。
250g,1kg,4kg で見てみましたが、いずれの場合にも高度は地球の丸みの影響で初期高度より高い高度まで達します。
シミュレーションは初期高度を上回った時点で終了させていますが、1kgと4kgではその時点の速度が地球の脱出速度を上回っています。250gの時はわずかに下回るので、地球を周回し、場合によっては再突入すると思います。

軽くなると、減速がやや大きく、脱出までの時間が掛かり、軽いほど光る時間が長いです。これもちょっと面白い結論でした。



Image3.png
 説明:
アースグレージング
 ファイルサイズ:  52.73 KB
 閲覧数:  6451 回

Image3.png


トップに戻る
ユーザーのプロフィールを表示  
前田



登録日: 2004.09.01
記事: 2754
所在地: Miyazai JAPAN (E131.4, N31.8)

記事日時: Fri May 02, 2008 12:26 am    記事の件名: 問題はどこに 引用付きで返信

前田です。
SonotaCoさん、詳しい解説どうもありがとうございます。よく分かりました。
突入角が小さいと、15km/sだと全部落ちるというのは変な感じですね。これだと、
人工衛星は全部落下しちゃうということですから。
また、速度が速い時はそんなことはないんですよね。
最初に書かれた仮定が成り立たなくなるということでしょうか。

グラフでは高度100kmからしかありませんが、もっと高いところから大気との
衝突は始まると思いますが、隕石クラスだと無視できるということですか。
つい、ふつうの流星クラスを想像して、グラフを見てしまいますが、これらの
計算は、通常のプラス等級の流星にはあてはまらないと思った方がいいのですね。

話がピント外れかもしれませんが、シュミレーションには重力加速度も計算に
入れてあるとのことでしたが、天頂引力の効果は数値計算で現れているのでしょうか??

とても興味深くて、いろいろ考えさせられる結果だと思いました。
流星物理セミナーあたりで発表するとうけそうですが、、。
トップに戻る
ユーザーのプロフィールを表示   投稿者のウェブサイトに移動
SonotaCo
Site Admin


登録日: 2004.08.07
記事: 12653
所在地: 139.67E 35.65N

記事日時: Fri May 02, 2008 10:40 am    記事の件名: Re: 問題はどこに 引用付きで返信

前田 wrote:
突入角が小さいと、15km/sだと全部落ちるというのは変な感じですね。これだと、
人工衛星は全部落下しちゃうということですから。
また、速度が速い時はそんなことはないんですよね。
最初に書かれた仮定が成り立たなくなるということでしょうか。

熱伝達係数などのパラメータ設定によっては燃え尽きるケースももちろんあります。
流星と人工衛星では材質や構造がまるで違うのでなんともいえません。
昇華することと、溶ける あるいはバラバラになることが違うのかもしれません。
人工衛星については別途検討が必要だと思います。
もちろん速度が大きければ完全に昇華します。
前田 wrote:
グラフでは高度100kmからしかありませんが、もっと高いところから大気との
衝突は始まると思いますが、隕石クラスだと無視できるということですか。
つい、ふつうの流星クラスを想像して、グラフを見てしまいますが、これらの
計算は、通常のプラス等級の流星にはあてはまらないと思った方がいいのですね。

超高空では大気密度が小さいので、200kmからシミュレートしても結果は殆ど変わりません。
減速は極めて小さく、質量損失も僅かです。
この力学的シミュレーションは通常のプラス等級の流星にもあてはまると思います。
高空で燃え尽きるプラス等級の流星をシミュレートすると、初期質量が極めて小さいことになります。
過去の多くの研究で、力学的質量予測は光学的質量予測より数桁小さい質量になることが指摘されていますが、
どちらが正しいかは判っていないと思います。

前田 wrote:
話がピント外れかもしれませんが、シュミレーションには重力加速度も計算に
入れてあるとのことでしたが、天頂引力の効果は数値計算で現れているのでしょうか??

初期速度が一定以上あれば、天頂引力、すなわち地球の重力による作用は、全体としてはごく僅かで、
流星速度が数km以下に下がったころ、つまり低空でのみ結果に現れてきます。
しかし、そのころには質量損失は殆ど終わっており、質量に対する影響は殆どありません。

また、ジュラルミンなどの軽金属で、Qが数100cal/g なら、 第一宇宙速度 7.9km/s でも殆どのケースで中空で質量が0になります。人工衛星は大体このパターンではないでしょうか。
あるいは、人工衛星は、大きな塊として落下するか否かが問題とされているだけで、小さい破片は日常的に落下しているのかもしれません。
ISSから紙飛行機を飛ばすと地表まで降りてくるのでは という話がありますが、低密度で軽いものは早めに減速して、燃え尽きないのは多分本当だろうと思います。
トップに戻る
ユーザーのプロフィールを表示  
特定期間内の記事を表示:   
新しいトピックを投稿   トピックに返信    SonotaCo.JP Forum Index -> 流星談話室 (Meteors) All times are GMT + 9 Hours
ページ移動 前へ  1, 2, 3
Page 3 of 3

 
移動先:  
新規投稿: 不可
返信投稿: 不可
記事編集: 不可
記事削除: 不可
投票参加: 不可
このフォーラムで添付ファイルを投稿 できません
このフォーラムでファイルをダウンロード できます


Powered by phpBB © 2001, 2005 phpBB Group
Copyright ©2004 SonotaCo Network. All Rights Reserved.